聴覚の旅

Kosugi様

僕の場合の五感の旅は、聴覚によるものが多いですね。ニューヨークの硬いコンクリートジャングルに響き渡るサイレンとクラクションの音、オレゴンコーストにどよめく地鳴りのような波の音、ひっそり静まり返ったクレーター・レイクの音のない音、シダの葉の擦れ合うザワザワという響きが恐竜の足跡のように聞こえるレッドウッドNPのファーン・キャニオンなど…。

最近お気に入りの音を二つ紹介します。

1) サンフランシスコ北のポイントレイズNPにある、Tomales Pointへ至る草原は、遠くに太平洋の波の音が響き渡る素晴らしい場所にあります。海風に吹かれながら草原を歩いていると、太平洋を渡ってきた風が草原をなで、エルクの群の足音が地鳴りのように聞こえます。

2) 真冬のヨセミテのミラーレイクは、夏の喧騒がウソのようにひっそりと静まり返った秘所。新雪が降り積もった中、誰の足跡もないトレイルを歩くと、どこからか雪崩の音が聞こえてきます。見上げるとハーフドームの岩肌から、前日降ったばかりの新雪が雪崩となって落下。周りの花崗岩の岩山にこだまして「ゴォーっ」という大地を揺るがす音が響き渡ります。

嗅覚の思い出も多いのですが、アムステルダムで吸ったハッシッシの香りとか、タイの小島で食べたマジックマッシュルームの玉子焼きのにおいとか、バンコクの中華街の怪しい裏道のゲロくさい空気とか、プサンの魚市場の近くの臓物が腐りかけたにおいとか、他の人が聞いたら、ろくなものがないのでやめときます。

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1件のコメント

  • モノトーンの思い出

    冬のヨセミテ、朝のしじまの中を歩いたのは最高でした。
    アンセルアダムスの世界そのものです。 
    ああいうのを凛とした空気って言うんでしょうね。 

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