アユタヤ 35 勘違いと故郷の味 タイスキはピリ辛の味噌ダレにつけていただきました。 Aさんの話では、タイには有名なタイスキレストランがたくさんあって、その中でも有名なのは【MK】、【COCA】、【TEXAS】で、Aさんがいちばん好きなのは、ヤワラー地区にあるTEXASだそうです。 外人さんたちも揃って、みんなで鍋を囲み、さぁいただきま~す♪ 「まぁ、TEXASもなかなか美味しいけどな、所詮はチェーン店のレストランの味付けやし、ああゆうのはタイで食うから旨く感じるだけなんやな。日本人とタイ人の味覚は化学調味料の旨みで繋がってるとこあるけど、俺から言わせたらちょっとチープやな、味が。 今日のダシはな、鯛のアラとかでとってあるし飽きひんとおもうんやけどな」 ふ~ん...そっかぁ、私には全然わからないけど、わかる人にはやっぱりわかるんだなぁ。 そういえば私、コンビニのお弁当とかインスタント食品とかお腹いっぱい食べると少し気持ち悪くなったりするけど、あんなのはやっぱり体に悪い何かが入ってるのかなぁ..... 「料理の事になったら超厳しいッスからね~、Aさんはw。 Aさんと付き合う女の人大変でしょうねー」 「みんな同じ事言うんやけどな、そんな事ないんやで。 俺、離婚する前もメシ作ってたしなw でも、他人から作ってもらった食いモンの方が旨いと思ったりもするけどな。 自分で作る料理って、味見してる時点で飽きてる時あるし」 へぇ~、調理師さんって家では料理しないってよく聞くけど.... 「でも、やっぱり食材がいい時は自分で作りたくなるよな。 料理人のアカンところは他人が作ってる時にそばにおったらアカンねん。 下手なモンが作ってる横におったら口出ししてしまうやろ? 相手も嫌やろうしなw、自分が逆やったら絶対嫌やし。 そやから、他人の料理は、作ってるところは見ぃひんようにしてる」 Aさんは外人さんたちに説明しながら具材を鍋に入れていきます。 「でもな、俺、いつも思うんやけど、主婦の作る料理とか、ある意味すごいと思うで。 だって普通の家庭のキッチンなんか、俺たちからすればメッチャ狭いしコンロも小さいしな、あんなんで素人が2品も3品もよう作るわって思うで。 ホントの料理人はな、作りながら洗いモンして片付けながらの繰り返しやねん。 それが出来ひんかったら場所ばっかりとるやろ? そやし、たまの休みに旦那が料理したりすると、味にこだわってばっかりで片付けが大変やって奥さんがブツブツ言う訳やw、嫁さんが買物してくる倍ぐらいの金額かかるしなw」 あ!昔、ママがパパに言ってた事とおんなじこと言ってるw 「毎日毎日献立たてるのって大変なんやから。 主婦って、ホンマに大変な職業やと思うでw。 趣味で作る料理に金かけるのは簡単やけど、素人はそれがホンマの料理やと勘違いしてしまうんやろな、俺も調理師になって10年くらいはず~っと勘違いしてたって事やわ。 そやし、浮気されて捨てられたんとちゃうかなぁw」 え....?...Aさんイケメンだし、私、勝手にAさんの浮気が離婚の原因だと思ってた... 「ま、料理人なんか独立しても明日の見えへん商売やけど、客が『旨い!』って言うてくれたら、俺ら幸せやからな~w ホンマはそれだけやとアカンねんけどなw」 Aさん、タイスキ美味しいですよ。 タイスキをここ以外で食べたことはないけど、どこの店のタイスキよりもすごく美味しいです! Aさんが言うような、『こっちで食べるから...』じゃなくて、Aさんがつくった料理をみんなで食べられて、私は幸せなんです。 でも、私はタイスキもそうだけど、このがめ煮の味と、みんなと食べてるひと時を、私はず~っと忘れられないだろうなぁ..... きっと、「愛情」っていうダシを入れすぎなんですよ!
アユタヤ 36 勘違いと故郷の味 パックブーン(空芯菜というそうです)や日本では缶詰にして売られている小さいとうもろこし(Aさんは『ナンバ』って言ってました。とうもろこしのことを『ナンバ』って言うそうです!みんなも初めて聞いたって言ってました)、ふくろ茸(これも初めて!)、きくらげ(何できくらげって言うの?)、とうふ(タイでもとうふって売ってるんですね~)....いろんな野菜と豚肉と手羽先と、鯛の切り身と..... こんなの美味しいに決まってるじゃないですかぁ~っ!!w。 タレはご夫婦の特製だそうです。 そのお味は...... 「ああ~んっ!! おいしいーっ!! 私、パクチーの味ってクセになりそうです♪」 タレの中にはきざんだパクチーが入っていて、ピリ辛の風味をグンと引き立てています。 「そか、そりゃ良かった。 パクチーが好きになったら東南アジアのどこに行っても大丈夫やなw、セロリが嫌いなヤツはまずアカンけどな」 私、セロリ大好きなんですw。 「特に、この鯛のしゃぶしゃぶ美味しいですね~、コリコリして」 「おう!そう言ってくれたら作りがいのあるゆうもんやなw。ナンボでもおかわりしいや」 外人さんたちも口に合うようです。 こういうのを地球家族って表現したらいいのかなぁ、外人さんと一緒にごはんを食べるのも初めてだし、今日はすごい一日になっちゃった! 「のんちゃん、どうしたの?」 Kさんが、外人さんをじっと見てる私を見て不思議そうな顔をしました。 「あ、いや......外人さんって、箸を使うの上手だなぁって思ってw」 「あ、そっかw。 でも、今時どこの国でも日本料理のレストランとかあるからね~。 それより中華料理の影響で箸を使うのって割とポピュラーになってるから、そんなに不思議な事じゃないよw」 あ、そっか! 箸を使うのって、日本だけじゃないもんなぁ~....
アユタヤ 37 常夏バレンタイン ナイトマーケットで買った焼き鳥は食べられそうにないので、がめ煮のお礼としてAさんにプレゼントしました。 「そんな気ぃ使わんでもエエのに~、夜中にでもお腹空いた時食べたらええやん」 「夜9時以降は食べないことにしてるんですw。さっき、『自分の味は飽きてる』って言ってたじゃないですかぁ、だから貰ってください!」 「いいなぁ!Aさん、バレンタインのプレゼントじゃないっすか~w」 Kさんの言うことにハッとしました。そっかぁ、もうバレンタインなんだ! 今年もチョコ渡す人いなかったなぁ~泣 「そっか、バレンタインなら有難く頂いとくわw」 となりにいる外人さんに、アメリカでのバレンタインデーについて質問すると、アメリカでもプレゼントを贈る習慣はあるそうです。 ただ、日本みたいに女の子が愛を告白するだけじゃなくて、お互いに、『いつもありがとう、好きだよ~』くらいの、日本より少しカジュアルな感じみたいです。 チョコレートを送るのは日本だけの習慣だったんですね~...知らなかった。 アメリカでは花束が一番多くて、年齢によって違うけど、このカップルの彼女は手料理を、彼は下着をプレゼントしたそうですw。 海外で過ごすバレンタインかぁ...暑いから気がつかなかったなぁw。 日本にいたら、義理チョコ代だけで毎年悩まなくちゃいけないのに、ちょっと得しちゃったなぁ、暑い国のクリスマスなんかどうなのかな~?今度はクリスマスをタイで過ごしてみたいなぁ!