インド旅行のハイライトは、何といっても、バナラシである。
バナラシは、ヒンドゥー教の聖地で、ガンジス川があり、川岸に、ガート(焼き場)がある。
ガンジス川舟下りや、ガートで、死体を焼くのを見るのが、観光の目玉である。(ヒンドゥー教徒にとっては、ガンジス川のほとりで、死体を焼き、その灰を、ガンジス川に流すのが、最高の幸せである)
私は、バナラシに着くと、さっそく、朝早く起き、ガートで、死体を焼くのを見物した。
若い白人男性が、神妙な面持ちで、同じ光景を見ていた。
(インドには、世界中から、たくさんの観光客が訪れる)
ガイドブックの地図を見て、船着き場へ行き、年取った老人の船頭と、値段交渉をし、「200ルピー」となった。
私は、ひとり、細長い舟に乗り、その老人の船頭が、櫂で、舟を操った。
「ガンジス川には、よく、死体が浮いている」
と何かに書いてあったので、目を皿のようにして、水面を探し回ったが、どこにも、死体は、なかった。
なめらかな水面が広がっているだけだった。
少し、つまらなかった。