私は、手に入れた帽子のゴムがとれたので、それを直したかった。(裁縫道具を持っていなかった)
道端で、中年女が、衣料品を売っていた。裁縫道具も持っていた。
私は、帽子のゴムをつけてくれるように、英語で、女に頼んだ。
「How about ダッスルパーイ?」(10ルピーでどう?)
と聞いた。(ダッスルパーイは、ヒンドゥー語で、10ルピー。約30円)
女は、
「Fifty(50ルピー。約150円)」
と言った。
高すぎる!帽子代より高い!
私は、
「ダッスルパーイ!(10ルピー)」
と再度言ったが、女は、
「Fifty!(50)」
と言い張った。
私は、しかたなく、50ルピーで、帽子のゴムを付け直してもらうことにした。
針と糸で、帽子に、ゴムをつけるのは、簡単で、すぐ、できた。
私は、帽子を返してもらった。
突然、女が、サリーを脱いだ。
私は、びっくりした。
サリーを脱ぐと、女は、簡素な、灰色のブラジャーとパンツを付けただけだった。
女は、また、素早く、サリー(細長い布)を、体に、くるくるっと巻き、端を挟み込んだ。
ほんの数秒だった。
私に、サリーの着方を教えてくれたのだ。
私の着ていた服より、サリーの方が、涼しい。
ネパールでも、同様の経験をした。
カトマンズのホテルで、掃除の女ふたりが、並んで、サリーを脱ぎ、また、ささっと、サリー(細長い布)を体に巻き付け、サリーの着方を教えてくれた。
私にも、
「サリーを着ろ」
と言いたいんだろう。
残念だが、私は、サリーを着る気には、なれなかった。
日本人には、無理だろう。