ベンガリートラには、当時(今は、知らない)、「ソナの店」という日本語の貸本屋があった。「ソナ」と呼ばれる、日本語ができる、30歳くらいのインド人男性がやっている店で、本の買い取り、貸し出し、雑貨の販売などをしていた。
本は、1冊1晩10ルピー(約30円)で貸していた。
私は、ここで、よく、「ゴルゴ13」シリーズのマンが本を借りて、読んだものだ。
ベンガリートラには、朝食を出す食堂があり、40ルピー(約120円)で、干(ひ)からびたトースト、コーヒー、ジュース、卵料理が食べられた。
西洋人向けのイタリア料理店もあったが、すごく高く、品切れが多かった。
インド綿で作ったカラフルな服を、あちこちで売っていて、私は、つい、たくさn買い込んでしまった。上下それぞれ、50ルピー(約150円)だった。大体、西洋人向けで、大きすぎたので、裾を切り、ミシンを持っているインド人に、端を縫ってもらった。インド人は、
「10ルピー(約30円)」
と言って、手を出した。
ベンガリートラには、日本人向けの日本料理店が1軒あった。
バナラシには、韓国人も多かった。韓国人向けの食堂も、1軒あった。
その日本料理店で、私は、長野県から来たという中年の夫婦に会った。
「冬は、植木屋の仕事がないので、毎年、1か月間、夫婦で海外旅行する」
「バンコクなんか、もう、ごみも落ちていない」
と言っていた。
泊っているゲストハウスも、見せてもらった。
その日本料理店には、英字新聞が置いてあったので、私は、いつも、目を通した。
ある日の新聞には、3面記事に、バスジャックの記事が載っていた。夜行バスで、夕方出発の便だ。マフラーで顔を隠した、若者数人が乗っていたのだが、バスが走り出すと、ナイフを出して、
「金を出せ」
と脅し始めたそうだ。
インド、ネパールは、夜行バスは、やめた方がいいだろう。飛行機が一番安全だ。