(以下、「天気の子」のネタバレギリギリの話を書いているので、同作品をピュアな気持ち(?)で観に行く予定、の人は読まないでください。)
「天気の子」はJR東や東京都交通局がタイアップしているので、何でだろうと思っていたら、確かにどちらも映画の中に出てくる。特にJR東の方は「尋常でない雨で止まった後の復旧作業」を妙に詳しく描いていて、作品の本題と関係あるのかないのか(止まっている山手線の線路上を主人公が走っていくシーンがあるが)よく分らないが、日頃リアルに乗っていても、へえと思うシーンが多い。
ところでこの映画、宣伝の通り「世界が変わってしまう」映画なのだが、変わってしまったあとに、とある都営線で、とある駅に向かって主人公が乗っていくシーンがある。都営地下鉄は現在4路線あるが、そのうち2路線ではタイアップ電車まで走らせているのに、この路線ではやってない。ポスターの宣伝も変わる前の世界の「都営バスのシーン」であって、唯一出てくる都営地下鉄のシーンには触れていない。(そもそもこの映画、映画の性格上、と思うが、東京メトロは出てこない。)どうやら、変わってしまったあとに走っている都営地下鉄は「黒歴史」になっているようである。まあ、駅の名前を挙げて解説すると、とたんにネタバレになってしまうから、なのだろうが。
ところが主人公が向かったこの駅の周辺は、駅のある区が発行しているハザードマップ(リアル世界の話である。念のため。)によると、映画の設定のような状況になったときには、2メートル以上の水に浸かる、となっている。(近くには5メートル以上の水に浸かるところもある。)さらに東京都の防災会議の資料だったか、映画のようになったときの東京の地下鉄の浸水状況は案外詳しくシミュレーションされていて、それによると、その路線の都心部分は完全に水没する。
何を言いたいかと言うと、東京に来たとき、不幸にして地下鉄の浸水に遭遇(これは可能性のある話、と思う。)したときに、「そうだ、「天気の子」に出ていたほにゃらら線のほにゃらら駅を目指せばいい。」とは思ってはいけない、ということである。あくまでもアニメの世界の話である。避難はきちんと駅員の指示に従って・・・とはいえ、駅員も「地下鉄の浸水」について、どこまで理解、想定しているものやら。
このように「妙にリアルな設定のフィクション」と言うのは、いかがなものか、とふと思ってしまった。