あれは、２０１５年８月半ばのことだった。
私は、マレーシアの首都クアラルンプールのチャイナタウン・ペタリングの安宿に、長期滞在していた。
ある朝、午前４時頃、私が、まだ、ベッドの上で寝ていた時、突然、外で、「ドカン！」と、大きな音がした。
私は、
「自動車のタイヤが、パンクしたんだろう」
と思った。
午前８時頃、起きて、外を歩いた。
パシフィックホテルの並びに立つ、デコレーション屋（祭りの飾り物を売る店）が、１軒、吹き飛んで、なくなっていた。なぜか、２軒並んで、同じような店が建っていたが、1軒が、ガス爆発か何かで、吹き飛んだのだ。
跡地には、札が立っていて、移転先が書いてあった。負傷者は、いなかったようだ。
ガス爆発跡地は、駐車場になった。後に、すぐそばに、地下鉄の駅ができた。
パサールセニ駅プラットフォームから、よく見える、パシフィックホテルは、外観からして、変だ。
高層ホテルなのに、窓がすべて、外から覆われていて、見えなくなっている。
私は、何度も、訪れ、泊ろうとしたが、いつも、「満杯」と言われ、一度も泊れず、室内を見せてくれたこともなかった。
私は、ガス爆発の数日後、朝、目を覚ますと、左目が見えなくなっていた。
