その答えは 三菱航空機常務執行役員(技術担当) MRJプロマネ 機体設計部長の藤本隆史氏の話 当初は,軽量化によって燃費性能を良くするために,炭素繊維強化プラスチック(CFRP)複合材を用いる予定だった。 ところが,実際に主翼を試作・検証したところ,思っていたほどの軽量化効果が得られなかったため, 素材をアルミニウム合金に変更する。 CFRP複合材で思っていたほどの軽量化効果を得られなかった原因は,主翼の形状, 具体的には「曲率」にあると,藤本氏は言う。 一般的な大型機の主翼の曲率がR2000であるのに対し,MRJはR800とカーブが大きい。 こうした形状をCFRPで造ろうとすると,炭素繊維のシートを積層する際に「しわ」が出来やすい。 しわが出来ると機械的性能が極端に下がるので,避けなければならない。 そのためにはシートを分割して積層すればよいのだが,分割する場合は機械的性能を確保するために, 積層する枚数を増やしたり,補強材を追加したりする必要がある。 そうすると,質量が増えるほか,コストもかさむ。 費用対効果でみたときに小型ジェット旅客機の主翼にCFRPを使うメリットは小さいと, 最終的に同社は判断した。
機体材料のアルミ合金を炭素繊維複合材料で代替するには、小型機のほうがより難しい。 小型機は主翼や胴体、その接合部などが小さく、飛行中の振動などを吸収する余地も小さいため、その影響を分析するシミュレーション計算や実験、そして設計をより緻密に行う必要があり、膨大な手間がかかるためだ。 実際、70~90席の小型機MRJでは、当初は機体軽量化のため主翼や尾翼に炭素繊維複合材料を使うはずだったが、09年9月の機体仕様確定の際、主翼材料を炭素繊維複合材料から金属へと変更している。 (東洋経済記事抜粋。という訳で尾翼には使われていますね)