レポート

【電源プラグ】CタイプとSEタイプの違いについて

公開日 : 2019年05月11日
最終更新 :

ドイツ型とフランス型のコンセントに接続するためのCタイププラグとSEタイププラグについて、まともな説明をしている日本語Webサイトがほぼ皆無なので簡単に解説します。

■Cタイプ
このプラグは一般的にEuroplugと呼ばれ、大きな電力を必要としない小型電子機器用のプラグとして規定されたものです。
アースなし2ピンの、非常にコンパクトなプラグですが、設計上は最大2.5 Aまでしか電流を流すことができません。
Europlugについては英語版Wikipediaと国際電気標準会議(IEC)のWebサイトで詳しく説明されています。

Wikipedia:
https://en.wikipedia.org/wiki/Europlug
国際電気標準会議:
https://www.iec.ch/worldplugs/typeC.htm
どちらのサイトでも最大電流2.5 Aと明確に書かれています。

ヨーロッパ標準プラグのピンの直径が4.8 mmであるのに対し、Europlugでは直径4.0 mmの細いピンが使用されています。
Europlugの規格では4.8 mm対応のコンセントにしっかり差し込めるようにするため、ピンが内側に向けてわずかに曲がっています(Wikipedia参照)。
日本で売られているCタイプの変換プラグの多くはピンが平行になっています。Cタイプの変換プラグをコンセントに差し込んだときにがたついたり外れやすくなるのは、たいていの場合ピンが平行であることが原因です。なぜ規格通りに曲げないのかの理由は不明ですが、恐らく曲がっていると不良品だと思われるためだと思います。私も最初はそう思いました。

このように、Cタイプのプラグは決して標準ではなく、低消費電力の電子機器向けの例外的なプラグなのですが、日本の旅行案内書の多くではCタイプが標準のように書かれています。ヨーロッパの家庭用電圧は230 Vと高く、間違ったプラグを接続すると安全上の問題が生じますのでこの記述はぜひ修正してほしいですね。

■SEタイプ
いろいろ調べてみたのですが、英語のサイトではSEというタイプのプラグはどこを探しても見つかりません。英語版サイトではフランス型プラグをType E、ドイツ型プラグをType Fと表現しています。
Type E:
https://www.worldstandards.eu/electricity/plugs-and-sockets/e/
Type F:
https://www.worldstandards.eu/electricity/plugs-and-sockets/f/
恐らく、ドイツ型とフランス型のプラグからアースの部分を抜いて小型化したものを日本独自でSEと呼んでいるのでしょう。ドイツ型とフランス型のコンセントはピン直径4.8 mmのプラグに対応しているので、SEタイプの変換プラグが挿さらないことはまずありません。Cタイプのプラグしか挿さらないコンセント(そういうのがあるのか私は知りません)以外ではCタイプではなくSEタイプの変換プラグの使用が適切であると私は考えています。

技術的な話に興味がない人も多いと思いますので簡単にまとめます。
1) ドイツ型(type F)とフランス型(Type E)のコンセントにはCタイプとSEタイプの変換プラグのどちらでも入りますが、私としてはSEタイプの使用を強くお勧めします。Cタイプでは電流の制限がある上、今までに述べた理由により、Cタイプの変換プラグはがたつくことがあるからです。Cタイプの変換プラグがないと不安なのであれば、Cタイプも変換プラグ「も」持っていけばよい話です。大した荷物にはなりません。
2) 現地在住者や現地のホテルに、コンセントがCタイプであるかSEタイプであるかを聞くのは無意味です。そもそもSEという略称を理解してもらえません。
3) 変換プラグを現地でなくしたという話をよく聞きます。変換プラグは予備を含めて余分に持っていくほうがよいでしょう。現地で買い直すと高いですし、なによりも旅行で最も貴重なリソースである「時間」を無駄に使うことになります。
4) 世界中のいろいろなコンセントに挿せるマルチタイプの変換プラグもありますが、私はマルチタイプをお勧めしません。変換プラグ自体がきゃしゃであるためです。230 V電圧の危険性を軽視してはいけません。たとえ荷物になっても、現地コンセント対応の変換プラグを使うべきです。

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3件のコメント

  • CタイプとSEタイプ参考になりました。日本のプラグと違い外国のプラグは質が安定していないですね。以前の240V対応の電気製品にはBタイプとCタイプの変換プラグが付属していたものが多いと思います。ケーブルの軽いコンセント位だと差込口の中のバネで安定していたのですね。最近のマルチタイプの変換プラグにはUSB充電対応までしているのが多くなり、重たくなったので安定が悪くなった気がします。以前の変圧器はCタイプのプラグなのに短くて穴のタイプのコンセントには使えない事さえありました。
    外国で購入した三又コンセントなども抜けやすいものもありましたし、穴によって使えるプラグのタイプの違うものもありました。
    ホテルや海外の空港のラウンジなどのコンセントはBFタイプとAタイプに対応しているコンセントも増えてきた感じがします。ある程度の重さがあるACアダプターの場合BFタイプが安定しているからでしょうか。
    Aタイプがそのまま使えるコンセントも増えてきた感じがします。アメリカ人を考慮しているのか。どこでもアメリカ流が通用するとアメリカ人から文句が出ないように考えているのかとさえ感じます。
    マルチタイプのコンセントが増えると旅行者としては楽ですね。

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  • 大変参考になりました

    知りたかったことが詳しく書いてあり、大変勉強になりました。
    ちなみに私は、先日スイス、インターラーケンのホテルで、Cタイプしか使えないコンセントを見つけました。
    その時初めて、Cタイプのプラグの必要性を実感しました。

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  • Re: 【電源プラグ】CタイプとSEタイプの違いについて

    Imhardlyworkingさん、こんにちは。

    非常に詳しい説明で感服しました。この手の話は「一次資料」を引っ張ることが出来ないので、おっしやるように、なかなか難しいと思うのですけど、お話を信じますね(!)・・・。

    先日あった別トピであった「延長コード」の話も、私もホテルで「その位置のコンセントだとこのプラグが入らん。・・・」という経験があるので、30センチくらいのコードを持ち歩いています。その辺で買ったコードで、これも高電圧(240V)対応にしないとまずいかなあ・・・と思っていたのですが、どなたかおっしゃっていた「コードは電流だけに依存していて、定格のワット数以内であれば、100Vより高い電圧だと(日本国内より)必ず電流は小さくなるので、普通のコードで問題ない。」という説明が一番腑に落ちました(?)が、延長コードは本当に電圧には関係ないのかよく分らないのが、悩みます。・・・と言っても、30センチ以上のコードを持ち歩くつもりはないので、いずれにしろ製品が限られますが。・・・・

    また、何かあればぜひアップしてください。

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    Re: Re: 【電源プラグ】CタイプとSEタイプの違いについて

    高島たいらさん、
    お読みいただいたことを感謝します。
    私の書いたことが100%正しいと主張するつもりはありませんが、複数の信頼できる英語サイトで確認しましたので基本的には間違っていないと思います。
    「延長コード」ですが、私としては日本で売られているコードを220V~240Vの国で使用することはあまりお勧めしません。被覆の絶縁耐圧が足りているか保証できないためです。もしかすると240Vの電圧に耐える被覆を使っていて日本の法令の関係で125Vまでと表示しているかも知れませんが利用者としては知るすべがありませんので。

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