ドイツ型とフランス型のコンセントに接続するためのCタイププラグとSEタイププラグについて、まともな説明をしている日本語Webサイトがほぼ皆無なので簡単に解説します。
■Cタイプ
このプラグは一般的にEuroplugと呼ばれ、大きな電力を必要としない小型電子機器用のプラグとして規定されたものです。
アースなし2ピンの、非常にコンパクトなプラグですが、設計上は最大2.5 Aまでしか電流を流すことができません。
Europlugについては英語版Wikipediaと国際電気標準会議(IEC)のWebサイトで詳しく説明されています。
Wikipedia:
https://en.wikipedia.org/wiki/Europlug
国際電気標準会議:
https://www.iec.ch/worldplugs/typeC.htm
どちらのサイトでも最大電流2.5 Aと明確に書かれています。
ヨーロッパ標準プラグのピンの直径が4.8 mmであるのに対し、Europlugでは直径4.0 mmの細いピンが使用されています。
Europlugの規格では4.8 mm対応のコンセントにしっかり差し込めるようにするため、ピンが内側に向けてわずかに曲がっています(Wikipedia参照)。
日本で売られているCタイプの変換プラグの多くはピンが平行になっています。Cタイプの変換プラグをコンセントに差し込んだときにがたついたり外れやすくなるのは、たいていの場合ピンが平行であることが原因です。なぜ規格通りに曲げないのかの理由は不明ですが、恐らく曲がっていると不良品だと思われるためだと思います。私も最初はそう思いました。
このように、Cタイプのプラグは決して標準ではなく、低消費電力の電子機器向けの例外的なプラグなのですが、日本の旅行案内書の多くではCタイプが標準のように書かれています。ヨーロッパの家庭用電圧は230 Vと高く、間違ったプラグを接続すると安全上の問題が生じますのでこの記述はぜひ修正してほしいですね。
■SEタイプ
いろいろ調べてみたのですが、英語のサイトではSEというタイプのプラグはどこを探しても見つかりません。英語版サイトではフランス型プラグをType E、ドイツ型プラグをType Fと表現しています。
Type E:
https://www.worldstandards.eu/electricity/plugs-and-sockets/e/
Type F:
https://www.worldstandards.eu/electricity/plugs-and-sockets/f/
恐らく、ドイツ型とフランス型のプラグからアースの部分を抜いて小型化したものを日本独自でSEと呼んでいるのでしょう。ドイツ型とフランス型のコンセントはピン直径4.8 mmのプラグに対応しているので、SEタイプの変換プラグが挿さらないことはまずありません。Cタイプのプラグしか挿さらないコンセント(そういうのがあるのか私は知りません)以外ではCタイプではなくSEタイプの変換プラグの使用が適切であると私は考えています。
技術的な話に興味がない人も多いと思いますので簡単にまとめます。
1) ドイツ型(type F)とフランス型(Type E)のコンセントにはCタイプとSEタイプの変換プラグのどちらでも入りますが、私としてはSEタイプの使用を強くお勧めします。Cタイプでは電流の制限がある上、今までに述べた理由により、Cタイプの変換プラグはがたつくことがあるからです。Cタイプの変換プラグがないと不安なのであれば、Cタイプも変換プラグ「も」持っていけばよい話です。大した荷物にはなりません。
2) 現地在住者や現地のホテルに、コンセントがCタイプであるかSEタイプであるかを聞くのは無意味です。そもそもSEという略称を理解してもらえません。
3) 変換プラグを現地でなくしたという話をよく聞きます。変換プラグは予備を含めて余分に持っていくほうがよいでしょう。現地で買い直すと高いですし、なによりも旅行で最も貴重なリソースである「時間」を無駄に使うことになります。
4) 世界中のいろいろなコンセントに挿せるマルチタイプの変換プラグもありますが、私はマルチタイプをお勧めしません。変換プラグ自体がきゃしゃであるためです。230 V電圧の危険性を軽視してはいけません。たとえ荷物になっても、現地コンセント対応の変換プラグを使うべきです。