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スロベニアの森

公開日 : 2025年04月23日
最終更新 :

スロベニアは朝晩に必ず霧が立ち込める。
特に秋冬はそうなのだという。
仕事が始まる前の貴重なプライベート時間で毎朝バードウォッチングをしに行ったてたんだけど、ものすごい霧で、なかなか野鳥を探せなかった。

その影響が大きいのだろう。
森の中は豊かな苔でおおわれてふかふかな場所が多かった。
霧に覆われ、新鮮な緑の苔を携えたスロベニアの森は美しかった。

ほぼ同じ緯度に位置する北海道は、林床に笹が跋扈しているのがデフォルトなので、森の中を歩き回るのは大変だ。
スロベニアには笹がないので、とてもすっきりしていて気持ちよく歩くことができる。

笹は林床を暗く覆うので、次の世代の木が育つのを阻害してしまい、それが北海道の森づくりの大きな大きな障壁となっている。
しかしスロベニアにはそれがないから、モミやトウヒのちびっ子たちがそこここにいる。
人が何も手を入れなくても、勝手にどんどん更新してくるのだ。
うらやましい限りである。

モミやトウヒなどの稚樹は、病原菌に弱い。特に冬、雪にのしかかられて葉っぱが地面に接触すると、そこから病原菌をもらって多くが枯れてしまう。
しかし、苔はものすごい抗菌作用があるので、苔の上に生えた稚樹は多くが生き残ることができる。

スロベニアには笹が分布しない。霧が多くて苔が豊富である。
この2点がスロベニアの美しい森を形作っているのだなと感じた。

ドイツやオーストリアは林業大国で、広大な人工林が広がるんだけど、スロベニアは天然の森を維持しながら林業を行うということを国全体でやっている。
今回はウィーンの空港から高速に乗ってスロベニアに入ったんだけど、窓から見える森の様子が、スロベニアに入るとガラッと変わるのがよくわかる。
自然と共存しながら木材を得る道を選んだ珍しい国。その制度もかなりしっかりしている。
その天然林施業も、この霧と苔が支えてるのかもしれない。
 

だけどね、多様性でいえば北海道や、日本の森のほうがはるかに高いよ。
スロベニアの森を構成する樹種はとても少なかった。それに伴ってなのかな?見れる鳥の種類も少ない気がする。まぁこれは数日滞在しただけでは何とも言えないところだけれど。

あとは、石灰岩が印象的だったかな。どこへ行っても白い石灰岩が露出していて、あちこちにドリーネが目立つ。地形図を見てみるとポコポコしてて面白い。そのせいか、土壌は薄そうで、根返りしてしまう気も多そうだ。

世界各地、いろんな地形や気候があって、それに適応した植物たちが生え、その環境に適応した動物たちが暮らしてる。
あたりまえだけど、改めてそれを実感できたよい旅でした。

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