「アンデス３国」この際覚えましょう

ベネルクス３国、バルト３国、スカンジナビア３国(フィンランド以外)、東アフリカ３国、マグレブ３国(モロッコ、アルジェリア、チュニジア)、インドシナ３国などと並んで、アンデス３国は昔から定着している言葉です。ホンモノの南米通なら誰でも知ってる。
アンデス山脈の中央をなすエクアドル、ペルー、ボリビアを指し、原住民率が高く、ほぼインカ帝国の版図という意味合いもあります。学術論文、レポート、ツアーの名称に頻繁に使われています。検索を。

欧州からの移民が多く、欧州の出店的感もあるコロンビア、チリ、アルゼンチンとはやはり別世界で、アンデス三国としてくくられるのです。

インカを旅する感じが味わえるので短期の旅の場合、アンデス３国に限定するのが一番と思います。ただいずれも治安が悪いのが残念ですが。

残念ながら

残念ながら、「エクアドル、ペルー、ボリビア」の三カ国を
「アンデス三国」と表現する、一般的な習慣はありません。

そもそも、歴史的、地理的経緯で、上記三カ国がくくられる理由がありません。
「アンデス三国」という呼称は大コロンビア(グラン・コロンビア)にあたる
「コロンビア、エクアドル、ベネズエラ」に対して使用されるケースはあります。

大コロンビアと、「ペルー、ボリビア」の枠組みは
植民地時代から独立に至るまで、大きく異なる歴史をたどっています。
この二地域にまたがる形で、「三カ国」が形成されることは、ありませんので。

またインディヘナ(先住民)についても、誤った認識です。
この三カ国にはケチュアを話すインディヘナは多いものの、
通常、ケチュアの枠組みには、コロンビアを含めた「四カ国」が使用されます。
なお、アイマラについては、三カ国の枠組みは「ボリビア、ペルー、チリ」です。

インカについても、北はコロンビア、南はアルゼンチンに至る範囲なので、
この三カ国を枠組みとする理由がありません。

なお、各種論文などを見ても、日本語のみならず、スペイン語、英語でも
「アンデス三国」という表現が使用されることはありません。


例にあがった、世界のほかの三国は、それぞれに歴史、地理的な背景があります。
「アンデス三国」には実態がなく、恣意的な表現に過ぎません。
伝聞情報は、くれぐれもご正確に。