レポート
  • 女性
  • 50代
  • 元県庁職員
  • 香川県
  • 英検2級、ロシア語教員免許、ドイツ語4級

信じられない光景 その3

公開日 : 2022年08月27日
最終更新 :

2010年4月、私は、タイの首都バンコクで、長期滞在していた。
当時のタイ首相は、アピシット(民主党)。
タイでは、赤シャツと、黄シャツが、対立して、大混乱していた。
4月10日午後、外国人旅行者が多く滞在する、カオサン周辺が、異様な雰囲気に包まれた。
装甲車が現れた。
私の目の前で、タイの若い男が、装甲車に飛びかかり、タイヤに千枚通しを突き刺して、パンクさせた。
装甲車は、走行不能になった。
私は、ささっと、通り過ぎて、川沿いの公園に向かった。
公園で座っていると、軍のヘリコプターが、私の頭上で、静止した。
他に、誰もいないのに、私の頭上に、ヘリが、じっと、静止していた。
気味が悪かった。
その夜、私は、カオサン近くのゲストハウスで、早くから、ベッドで、横になっていた。
パンパンパン………と、外で、うるさく、音がした。
私は、
「誰かが、爆竹を鳴らしている」
と思った。
翌朝8時頃に起きて、外へ出ると、カオサンそばのバーガーキングの前の道路が、戦場跡みたいになっていた。
血だまりがあり、花が置いてあった。
駐車している車は、銃撃で、ハチの巣になっていた。
道沿いの柱や壁に、銃弾がめり込み、穴だらけになっていた。
ひとつ向こうの道では、装甲車がひっくり返され、タイの若い男が、キャタピラーを、金のこで、キーコキーコ切っていた。
切られると,キャタピラーは、取れてしまった。
私が、前の晩、「爆竹だ」と思った音は、実は、銃撃戦の音だったのだ。
4月10日夜、バンコクのあちこちで、赤シャツと、軍の衝突が起きて、80人近くが死んだそうだ。
4月13日~15日は、ソンクラン(水かけ祭り)だが、「今年は中止だろう」と、私は思った。
私は、ソンクランが嫌いなので、毎年、4/13~15は、ラオスなどへ行く。
私は、ラオスへ行くのをやめた。
「いくらなんでも、ソンクランは、中止になる」と思ったのだ。
驚いたことに、ソンクランは、実施された。
私は、液体を掛けられまくり、怒りながら歩いた。
タイ人は、歓声を上げて、祭りに興じていた。

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