バンコクとウェンチャンを結ぶルートは、飛行機、列車、バスの3種類ある。私は、すべて、経験したが、経済性、安全面の上で、列車が一番いいと思った。(ただ、夜通し、眠ってはいけない。泥棒が出るから。バスも、眠れないのは、同じ)列車のチケットは、前もって、バンコクの中央駅フアランポーンの外国人専用窓口で買っておく。ノーンカーイーバンコク夜行列車、2等寝台下段がベストだ。(約2700円。夜行バスでも、似たような値段だ)この夜行列車は、日本の退役したブルートレインだ。
話は、戻るが、私は、その日、列車のチケットを買っていなかったので、ウェンチャンの旅行会社で、バンコクへの夜行バスのチケットを買った。バスは、当日でも、予約OKだった。(列車は、満席のことがある)
夜行バスは、外国人しか、乗っていなかった。インドシナ戦争の時、アメリカが作ってくれたという、立派な道路を、バンコクへ向かって、疾走した。
このバスは、早朝、まだ暗いうちに、カオサンに着いた。まだ、ホテルも、開いてないので、私は、その辺の店の軒下に、立って、朝を待った。スーツケースをそばに置き。
近くの路上には、若い女たちが立って、雑談をしていた。
私は、なんとなく、
「スーンパン・ハーロイ(タイ語で”1500”。1500バーツは、約5250円)」
と言った。
女たちは、知らん顔して、雑談を続けた。
私は、
「ソーン・パン(タイ語で”2000”。2000バーツは、約7000円)」
と言った。
女たちの中のひとりが、くるっと、振りかえって、二カッと笑った。
それは、ニューハーフだった。
私は、女だから、ちょっと言ってみただけ。
(了)