私は、海外旅行中、ツーリストビザしか、取ったことがない。
ツーリストビザには、たいてい、「Working is prohibited」(働くことは禁止)と書いてある。
2008年10月、私が、初めて、タイの首都バンコクに行き、初めて、カオサンに行ったときのことだ。
日本人らしい若い男が、サッカーボールを蹴っていた。
チップを稼ぎたかったんだろう。
あっという間に、警官が来て、彼の腕をつかんで、連れて行ってしまった。
ほんの少しの金稼ぎも、許さないんだろう。
どこかに書いてあったが、日本人の若い男が、タイ人と並んで、敷き物を敷いて、持ち物を並べて、売っていたそうだ。
やはり、あっという間に、警官が来て、並べて売っていた物は、没収され、逮捕されて、連れて行かれたそうだ。
私は、タイのことしか知らないが、どこの国も、不法就労には、厳しいんだろう。
やはり、2008年10月、私が、バンコクに行って、すぐのことだ。
私は、カオサン近くの路上で、リュックを修理してもらっていた。
修理してくれた男は、靴やカバンを修理する道具を持って、歩道に小さい椅子を置き、座っていた。
リュックを修理してもらいながら、英語で話をした。
男は、40才くらい。
「父親は、エジプト人。母親は、イタリア人」と言っていた。
「日本に行ったことがあるか?」と私が尋ねると、「ある」と答えた。
1980年代、日本でよく見かけたものだ。
商店街の路上で、敷き物を敷いて、ネックレスなんかを売っていた外国人。
どうも、彼も、日本で、ネックレスなどを売っていたらしい。
彼は、顔をしかめながら、「日本では、ヤクザが………」と言葉を濁した。
みかじめ料を取られたんだろう。
不法就労だから、しかたがない。