もう少しで完成する広深港高鉄(広州-深圳-香港を40~60分程度で結ぶらしい。)の西九龍駅(香港側の終点)で「一地兩檢」(一地両検、一か所で香港と中国の出入国検査を両方やる、の意)で、もめているとのこと。
http://www.info.gov.hk/gia/general/201707/25/P2017072600048.htm
確かに香港域内に人民解放軍が駐留しているにせよ(基本法は外交と国防以外の中国政府の介入は認めていない。)、域内で中国が施政権を持つ、というのは、初めてのことになる。駅の構造がいまいち分からないので、何ともいえないところがあるけど、待合室やホームで中国公安が逮捕権を持つというと、そもそも駅構内が既に中国、になるのはいかがなものか、と外人の私でさえ思うところがある。
ホンナム駅で直通列車に乗る場合も、入国は広州東站だし、深圳湾口岸のように中国領に香港側がイミグレを持っている例はあるけれども・・・・とにかく西九龍站まで連れ込めばあとは中国の勝手・・・というのは、どうもねえ。シンガポールのマレー鉄道のように「鉄道部分が外国」というのは(マレー鉄道廃線跡は多分今でもマレーシア領だと思うけど)当事国にとっては、あんまり気持ちのいい話ではないはず。
で、東京では昨年の香港での一番の話題作「十年」(当然のことながら中国では発禁でDVDも売られていない。)がようやく公開されたので観に行った。(新宿単館というのは中国政府の圧力(?)ではなく、さすがに日本では商業ベースに載らないだろう。)中国と共産党の支配が強まった十年後の香港社会を描いた、ちょっとしたSF映画(?)である。
気が滅入る(?)映画である。五作のオムニバス映画で、三作目の「方言」はコメディタッチではあるけど、普通語がしゃべれないと空港や駅、港で客が取れなくなる世界になったタクシー運転手の話で、北京語と広東語が少し聞き取れれば、なおのことショッキングな作品。
さらに五作目の「本地蛋」は当局の言葉狩りによって使えなくなる言葉、禁止される本が増えていく話で、この五作目の一番最後のセリフが、全ての日本人にぐっと来るセリフ(?)で、暗い気持ちで映画館を後にせざるを得なくなるという、そういう意味からも香港ファンには必見の映画である。こういう雰囲気が最近の香港には漂っているのか・・・今年中には一度行ってみたいと思わせる映画であった。