スイスひとり旅 (2日目) 一気にユングフラウヨッホ(Top of Europe)へ

昨日の反省も込めて、今回の旅はゆったりしてみようということで、本当に久しぶりに時間をかけて朝食を取った。この、おそらくスイスで最も有名な橋のまん前というロケーションの宿を取ったのは、まさにこの幸福な朝食を楽しむためといっても過言ではなかった。
早朝の少し冷たい風が心地よく、昨日何度も渡ったカペル橋とピラトゥスを眺めながら、今日のこれからの予定を考える。しかし、昨日は快晴に近かった天気の雲行きは少し怪しい。日本でチェックしてきた天気予報はバッチリ当たっている。ということは、これから2~3日かなり厳しい天気になりそうだ。明日・明後日は完全に雨っぽいけれど、今日はギリギリ天気が持ちそうな感じなので、ここは、皆さんアドバイスのプラン(シルトホルン立寄り、リギ観光。。。)はスキップして、まずはグリンデルワルトに直行し、天気の状況を見ることにした。
ツツェルンでは、最後にもう1回カペル橋を渡って、8:55発Golden Pass LineのPanoramic Carに乗り込む。天気のいいうちに出来ればユングフラウヨッホへという希望を持って電車に乗ったが、いきなり雨が降り出してきた。しかし、南下していくうちにまた晴れてきて期待が膨らむ。
インターラーケンで、即グリンデルワルト行きに乗り換える。1等車両はひとりだけの貸切で贅沢な時間が始まる。右に左に夢のような景色が広がり、カメラを手放せない。
グリンデルワルトの駅近ホテルにチェックインして、即、クライネ・シャイディック行きに乗り込んだのがちょうど12時。しかしながら、完全に天候は崩れている。そのせいか、乗客は一車両に2~3人。車内で72歳の日本人おばあちゃんのひとり旅と話する。すごい、あの年齢で欧州をずっと一人で旅行しているなんて。。。私などまだまだ若造である。

クライネ・シャイデックはもう雨だった。しかし、アイガーの巨大な岩壁とアイガーグレッチャーの氷河は見ることが出来て、その雄大さに心が弾む。でも、まだ昼食を取っていなかったので、とりあえずユングフラウヨッホの状況を確認できるTVモニターのあるレストランに入る。そこで、合席になった英国人夫婦と楽しい会話が弾む。彼らは、グリンデルワルト5泊ということで、欧米人特有のゆったり型滞在だ。しかし、私には今日と明日の1.5日間しか、ユングフラウヨッホに上がるチャンスはない。TVモニターを見ると、相変わらずユングフラウヨッホは真っ白で視界ゼロ。片や、シルトホルンのほうは、天気は悪そうだが視界がある。しかし、今から、この場所(クライネ・シャイデック)からシルトホルンに向かう時間はない。ここから、雨の中、ハイキングで下るかユングフラウヨッホにチャレンジするか。。。。ギャンブルであったが、ここで、ぼうふらぽじさんの言葉を思い出した。”お山の天気は変わりやすい、どこかで視界の開ける時間はある” うん、明日の予報も悪いし、やっぱり今日これからチャレンジだ。ただ、皆諦めたか、午後3時過ぎのユングフラウヨッホ行き電車は、一車両2~3人という状態。あまり期待しないで、少し高山病も心配しながら上ったTop of Europeに、奇跡が待っていた。確かにあられが降っているような状態ではあったが、TVモニターで見ていた白いモヤが消えて、なんとアレッチ氷河が遠くまで見渡せるではないか。これが、私の今回のスイス旅行での最初の感動であった。(実はもっと大きな感動が5日目に待っていたのであるが。。。)
興奮の余り、ここが、3454mということも忘れて、早足で歩き回った。スフィンクス展望台とプラトー展望台を2回ずつ往復して、雪原に出て、ひとり雪合戦を楽しんだりで、結局18:05発の終電までTop of Europeに滞在したのであった。

グリンデルワルトに戻り、村の散策を兼ねて夕食に出かけた。ハーフボードは手違いで予約なしになっていたが、いきなりフルコースのヘビーなスイス料理より、外で軽く食べたい気分であったので、ちょうどよかった。グリンデルワルトは、本当に銀座1丁目から4丁目くらいしかない小さな村。一回歩けば簡単に地理感が出来てしまった。しかし、すごい垂直な岩壁(アイガーとかベッターホルン)の真下という迫力には圧倒された。フィルスト行きゴンドラ駅近くのイタリアンには入ったが、スイスらしくないハエの多さにはかなり参った。帰りに少し土産物屋を覗いてみた。熟年日本人旅行者がやたら目に付く。土産物屋の中には、店員が全て若い日本人女性とイケメン日本人男性、客も90%日本人というところがあった。何か、日本の温泉場でひと風呂あびて土産物屋をのぞいている気分であった。とはいえ、この迫力ある直角の岩壁と周囲のキュートな村の緑は、十分に感動に値するものではあった。そして、ルツェルンからグリンデルワルト、ユングフラウヨッホ、グルンデルワルトに戻ってきた長い一日が終わった。

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  • スイスひとり旅 (3日目) 雨のベルナーオーバーラントで村めぐり

    出国前の予報でも、昨日の当地の予報でも、今日は曇り時々雨くらいのはずであった。しかし、私の悪運もついに尽きたか、早朝から重い雲が立ち込め、外は完全な雨。時差の関係で5時ごろから目覚めては、外の天気を確認したり、TVモニターで確認したりしていたが。。。。
    やっと7時になり、朝一番に食堂に向かうと、日本人団体さんでごった返しており、座るテーブルもない。そこで、どうせ雨だから急いでも仕方ないと考え直し、7時30分に再度のぞいてみると、既に団体さんは去り、客は2~3人だけだった。ひとり食事をしていると、私と同年代くらいの日本人女性が声をかけてきた。今日は雨なので、水着を買ってプールに行く予定らしい。彼女は1週間もここに滞在するらしいので、余裕があるけど、私はもう明日にはツェルマット移動なので、とても1日プールで過ごすのは。。。彼女はウェイターともドイツ語で会話していたし、なかなかアクティブな人だ。昨日のおばあちゃんといい、この女性といい、ひとり旅の場合は、こうやって自分から色んな人に話しかけると旅が楽しくなるってことを教えられた。その後の私の旅では、国籍・年代・性別を問はず、自分から色んな人に話しかけてみることで、
    旅の楽しさがまた拡がったような気がする。
    朝からそんな天候ではあったが、今日はフィルスト近辺とクライネシャイデック周辺でハイキングと心に決めていた私は、ウィンドブレーカーの上にカッパ上下、その上で傘も持参という重装備で、まずはフィルスト行きゴンドラ乗り場に向かった。しかし、TVモニターは完全に真っ白、乗り場には誰もいない。駅員に状況を聞いても、今日は回復の見込みないし、明日がまだましかもという答。。。流石に、ここは諦めて、今度はグルントまで歩いて、メンリッヒェン行きゴンドラ乗り場に向かう。ここも客はほとんどおらず、係員のよく喋るお姉さんとしばし歓談。このお姉さんによれば、山の天気は変わりやすい。今は真っ白だけど頂上に上がってガスが消えることもある(ぼうふらおじさんの如き話だなあ)ので、それならハイキングでクライネ・シャイデックまで下ることは十分可能だと言う。ということで、自分の運を信じ、メンリッヒェンにチャレンジすることにした。ゴンドラに乗ってる間は美しい村が見えたり、突然聞こえてくるカウベルの音に癒されたりと楽しいこともあったが、上がって見ると、完全に真っ白で、ららら無人君状態。これじゃ、方向もわからないし、ハイキングなんてとても無理。少しはお茶を飲みながら粘ってみたが、真っ白状態は変わらず。困り果てて、再度、地図をみると、ヴェンゲンに降りるロープウェイがある。うん、それじゃとりあえずヴェンゲンに降りてみよう。しかし、これが大正解だった。ロープウェイからみえたヴェンゲンの村は宝石のようにきれいだった。斜面に並んだ瀟洒なホテル、教会、高級別荘が、輝く緑の中で見事に調和している。グリンデルワルトには申し訳ないが、ここはあのように商業化された部分がなく、静かな高級保養地としてのムードで溢れていた。楽しい散策の時間であったし、次はここに宿泊してみたいと思った。散策の間中、不思議に思ったことは一人も日本人、東洋人に会わない。100%西洋人である。やはり、この坂の多い土地は日本人熟年旅行者に合わないのか、それとも単に旅行社がここに宿泊のツアーを組んでないだけなのか。。。まあ、私としては、全く予定していなかったヴェンゲンという村に来ることが出来て、今日ハイキングが出来なかった分を少し取り戻した気分であった。そして、今日の方針を決めた。全て村めぐりにあてよう。今日の天気だと標高2000m以上は完全に真っ白のはずなので、上っても意味がないので。その後、ラウターブルネンを散策し、大迫力の滝を見たり、ミューレンにも足を伸ばし、みずみずしい緑の中の村々の風景を楽しんだ。止まない雨の中、少し早めにグリンデルワルトのホテルに戻った。7時ごろになって、やっとアイガーにかかっていたもやが晴れ始めた。なんてことだ。今ごろ晴れ間が見えても、もうとっくにフィルスト行きゴンドラの時間は終わってる。もし、明日の朝もこんな感じだったら、出発前にフィルストだけは再トライしようと心に決めて、またまた早めに床に着いたのであった。

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    スイスひとり旅 (4日目) ツェルマット、そしてゴルナーグラートからの初ハイキング その(1)

    今朝のグリンデルワルトも重い雲、深いモヤの中だったが、空の色にいくぶん明るさが見える。昨晩一生懸命考えた、早朝のフィルスト or メンリッヒェンでのハイキングは取りやめて、天気予報のいいツェルマットに移動することに決めた。7:35グリンデルワルト発の電車で、まずインターラーケンに向かう。インターラーケンでは僅かな晴れ間からユングフラウが見え、今日ユングフラウヨッホに上る人はラッキーかもしれないなんて考える。シュピーツでは、乗り換えに45分も間があったので、この落ち着いた街を丘の上からゆっくり眺めることが出来た。ひんやりとした空気が気持ちよかったが、再びユングフラウの方向を眺めると、重たそうな雲と霧が出ていた。うん、朝一にツェルマットに向かう判断は正しかったかなと少し自画自賛。あとは、カンデルシュテークで途中下車してハイキングするか、ツェルマット直行かの判断だけである。シュピーツからブリークへの途中、カンデルシュテークで降りようかどうか悩んでいたら、右側の座席から声がかかった。"Do you speak English ?" うん、これは絶好の暇つぶし。人のよさそうなおじいちゃんだ。どうやら地元スイスの人でチューリッヒからシオンに向かう途中らしい。ただ、彼の英語は心もとない。まず中一レベルの会話しか通じないし、80%くらいはドイツ語の感じ。それでも、適当に話を合わせて、おまけにコーヒーまでご馳走になっているうちに、カンデルシュテークの駅に着いた。まあ、おじいちゃんのお相手もあるし、やっぱりかなり白い霧が出ていたので、ここはスルーして、一気にツェルマット直行だあ。ブリークでおじいちゃんともお別れで、教えてもらった赤い電車に向かって歩いた。SBB時刻表では徒歩7分だったが、実際は2~3分で、最後のMGB鉄道に乗り継いだ。MGB鉄道も楽しかった。天気もだんだん良くなり、渓谷の中を奥に奥に進んでいく感じがとてもよかった。駅に着くと、ここで皆さんに教えてもらった通り、ホテル専用TELで
    到着を告げる。すぐに電気タクシーを用意してくれ(もちろん無料)、12:30頃ホテルにチェックイン。このホテルは★★★だったが、全てにおいて最高だった。ひとり旅でシングルルームの予約であったが、同料金でマッターホルンの見えるツインルームを準備してくれていた。ホテルのスタッフもフレンドリーで、それに内装も凝りに凝っている。花で溢れた中庭もすばらしく、通りがかりの人々が写真に取っていくほどであった。”あこがれの山”との最初の対面は、そのホテルの部屋からだった。ホテルスタッフに、”ところでマッターホルンはどちらの方向?”って聞いたところ、”何言ってるのよ?その窓から見えているじゃない”との返答。急いで、ベランダに出て、上方を仰ぎ見ると、そこには神々しく輝くマッターホルンの姿が。。。。しばし、感動に言葉を失うほどであった。少し雲はかかっていたが、マッターホルンはくっきりと姿を現して、私を歓迎してくれた。スタッフの彼女は、”昨日は天気が悪く全く見えなかった。明日もどうなるかわかりません。”っていう話。今朝も見えてなかったらしい。そんな状況なら、一刻も猶予はない。昼食もとらず、急いでGGB鉄道に飛び乗った。