トゥルバドゥールの記憶

フランスの歴史にお詳しいであろう青空人さんにとっては、ご存知の史実だと思いますが↓、
中世期のフランスには当然今日のような行政区分はなく、「言語」による漠然とした地域分けがあるのみでした。
したがって、フランスの中央山塊以南のフランスはラテン語が派生したオック語の世界であり、そのエリアにおいて北仏オイル語とは違う貴族社会が形成されていました。その広い地域の中に、南仏吟遊詩人トゥルバドゥールは生きていました。
プロヴァンス地方にも、ルールマランを本拠とし、リュベロン地方に権勢を振るっていた貴族があって、その庇護のもとで活躍したトゥルバドゥールの記録が認められます。

トゥルバドゥールは、南仏諸侯の衰亡とともに消散してしまいますが、彼らが詠んだ詩はやがて時代が下ってプロヴァンスの地域意識の高まりとともに蘇り、プロヴァンス文学の復興運動を呼び起こし、そして今の時代のプロヴァンサルの誰もが持っている郷土愛の礎になっていったのだろうと思います。

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1件のコメント

  • 重ね重ねありがとうございました。

    >Mabou-lceさん
    大変勉強になりました。これだけプロヴァンスの歴史に精通されているのであれば、きっと旅先で感じるものも違うのではないかと思います。

    それにしても、「南仏訛り」について軽い気持ちで立てたトピックスでしたが、こんなに濃い内容になるとはゆめ思いませんでした。
    しかし、おかげさまでプロヴァンスという土地に生きる人たちの「心」に触れる大きな手がかりになった気がします。

    また旅行を前にお伺いすることがあると思いますので、その節はぜひお付き合い下さい。

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