私は、2018年6月14日に、ベルギーの首都ブリュッセルから、ユーロスターで、ロンドンに行きました。
ロンドンでは、アンバサダーホテルに予約していて、泊まりました。
アンバサダーホテルは、変わったつくりになっていて、私が泊まっていた部屋の前の廊下は、太い廊下から枝分かれしていて、ドアを一枚開けて、通るようになっていました。
つまり、物音が、あちら側に、聞こえにくくなっていました。
枝分かれした廊下に面して、シングルの部屋が、3,4部屋ありました。
6月18日の夜、夜中に、ものすごい声と物音がしました。
私は、まだ、寝入っていませんでした。
「ゴン!」
と、何かを殴るような、大きな音がして、その直後、
「ギャー!」
と、男の声で、すごい悲鳴がしました。
隣の部屋からは、首を絞められた女が、バタバタ暴れているような、すごい音がして、しばらく、その音が続きました。バタバアする音は、2人分、聞こえました。
私は、身じろぎもせず、じっと、ベッドの上に、横になっていました。
部屋のドアには、内鍵がなく、私は、ドアの前に、家具を置いて、衝立にしていました。
「犯人が、私に気が付いて、部屋に入ってきたらどうしよう」
と思いました。
「でも、いくら何でも、こんな大きな、外国人が、たくさん泊まるホテルで、殺人が起きるはずがない」
とも、思いました。
誰かが、いたずらで、あんな声や、物音を、立てているんじゃないか、とも思いました。
日本国内なら、そんな物音や声を聴いたら、フロントに電話しますが、外国では、危なくて、電話なんかできません。
犯人に気が付かれるし、英語で、電話しなくてはいけないし。
その日、私は、朝食のビュッフェを食べる部屋で、中国人らしい男女を見かけていました。
男の方は、おびえた表情をしていて、筋骨隆々とした体格の白人男性が、そっちの方を見ていました。
叫び声は、その中国人の男だと思いました。
白人の声より、音程が高かったからです。
ウェートレスは、ロシア語をしゃべっていました。
私は、まんじりともせず、朝まで、じっと、ベッドの上に横たわっていました。
朝が来て、私は、ビュッフェを食べに、降りていきました。
フロントも、異常がなく、
「やっぱり、昨夜の物音は、誰かのいたずらだな」
と思いました。
朝食後、私は、急に、日本にいる弟のことが心配になり、日本に、国際電話をかけました。
ホテルのフロントで、かけさせてくれました。
弟は、様子が変で、私は、予約をキャンセルして、日本に帰国することにしました。
ホテルのフロントは、私が
「電話代を払う」
と言ったけれど、首を横に振って、ただにしてくれました。
私は、即刻、帰国することにして、ホテルをチェックアウトしました。
ヒースロー空港から、タイ国際航空で、バンコク経由で、成田国際空港に帰国しました。
帰国日は、2018年6月21日です。
あんなに怖い思いをしたのは、長い旅行でも、初めてでした。
みなさんは、旅の最中、怖い思いをしたことは、ありますか?