アユタヤ 3 ハイシーズン 「えっ!?」 真っ黒に日焼けした顔、Tシャツにジーンズ、チョット不精ひげ、旅行者とはあきらかに違うサンダル、荷物はコンビニの袋だけ。 「あ、日本の方ですか??」 「そやで、タイ人と思った?」 思わず「ハイ」といいそうになったのをこらえて、 「いえ、アノ~....パックを持ってなかったんで...」 申し訳なさそうにゆうと、 「あはははっ!いいよいいよ、よく間違われるし。それにしても何が言いたいのかねぇ、あのアホ達は。 ガイドブックなんかよりネットでの評判の方が正確に決まってるやろうに...バカの一つ覚えみたいに全員そろってサングラスか」 プッ、と最後に吹き出した後に、 「YH、ちゃんと予約いれてあるの?」 今度はがらっとやさしい顔で言いました。 「いえ、まだなんですけど、とりあえずいってみようかと思ってます」 その方はちょっと考えたような顔をしてから、 「列車のなかでも日本人たくさんおったやろ?今、ハイシーズンやし一応電話で部屋があるかどうか聞いてみたら?他のゲストハウスも人気のあるところは夕方までに満室になること多いよ」 確かにその通りでした。 私は、ハイシーズンだろうがそうでなかろうが、いつでも簡単に部屋が取れると思ってて、きちんと計画をたてることをしませんでした。 もし満室だったらどうしよう、もう4時半だし、あきらかに昼間の明るさとはちがう夕方の明るさになっている。 「YHの電話番号はわかる?」 「はい、一応メモっておきました」 「そうか、えらいな。こっちで公衆電話使ったことある?」 「いえ...ないです..」 「わかった。じゃあ、かけてあげるから後は自分で問い合わせできるね?」 「ハイ、英語で大丈夫ですよね?」 「うん、YHは世界中英語OKのはずやで。ホラ、足元気を付けて」 アユタヤ島にボートが着くと、先に降りたその人は手を貸してくれました。 知り合いらしいタイ人のおばあちゃんにも手を貸してあげて、何かタイ語で話していました。 「すごい、タイ語話せるんですかぁ!こっちに住んでるんですか?」 すこし照れた顔で、 「いや、俺も旅行者というか、いつも同じ場所にいるから自然と覚えただけ」 「いつも同じ場所って、アユタヤにですか?どれくらいいるんですか?」 「アユタヤだけやで、それよりほら、電話しないと。小銭持ってる?」 財布を開けるとお札と2バーツしかありませんでした。 どこかで両替してきますと言うと、 「あー、いいよ、俺細かいのあるし。それより、こっちでは日本みたいに小銭を使いきろうとしない方がいいよ、必ず必要になるし」 言われてみれば、私は日本と同じ感覚で最初に小銭からつかおうとしてた! すごいなぁ、なれてるひとは... 「つながったよ、ほら」 受話器をうけとって部屋があいているか聞いてみると... 「Full?!!」 心配されたとおり、YHは満室でした!エエ~ンッ!どうしようー泣 「満室だった?やっぱりか...」 「いつも予約しないとムリなんですか?」 「いや、そんなことはないけど、先週と今週は特にツーリスト多いからね。さっきのアホ達は知らんと思うけど、YHは結構人気あるから」 そうなんだぁ...あ~ぁ、まるこさまのゆうことしっかり聞いとけばよかったぁ泣 「一応、さっきの子達とおなじとこに行ってみたら?アソコのバァさん嫌いだけど、女の子が一人で泊まるなら部屋もきれいだし、日本人もいっぱいいるし」 「....なんで嫌いなんですか?」 「いや、別に初めて来た子が1泊するだけなら嫌な思いもすることないやろうし。俺はただ、個人的に嫌いなだけ」 「あのぅ、どちらに泊ってるんですか?」 「俺?俺は知り合いのGH、ガイドブックにのってないとこ」 「私でも泊れそうなとこですか?」 少し困ったような顔をしてから、 「でも、○○の方が清潔度は高いよ。ホットシャワーもついてないし」 私は、どうしてもまたあの人たちと一緒になるのが嫌でした。 それに、最初あやしくみえたこの人が、いま、全然そうゆうふうに感じなくなっていることに気が付きました。 とにかく行ってみて、やっぱりいやだったらガイドブックにのっているほかのGHを全部まわってやろうと思いました。 時間は5時になっていました。
アユタヤ 4 旅のカタチ 「俺、○○ね、よろしく」 歩きながら、優しい笑顔で自己紹介してくれました☆ 右手を差し出されたので、自然に握手しました。 日本じゃぜったい握手なんてしないのに、外国っていいなぁ~、自然にこんなことできるなんて! 「のんです、よろしくおねがいします。あのぉ~、アユタヤにどれくらいいるんですか?」 さっき、話がとぎれたのでもう一度きいてみました。 「まだ1週間かな~」 「あ、いえ、そうじゃなくて、どれくらい滞在するんですか?」 「1ヶ月やで」 「え~!すごーい!私なんか1週間しかないんですよぉ泣」 Aさん(としておきます)は、 「でも、それがふつうでしょw。学生さん?」 「ハイ。初海外です。タイ語、一生懸命勉強したんですけどむずかしくて...どれくらいで覚えたんですか?」 「ん~...、最初の1ヶ月くらいかなぁ..」 びっくりです!多少は英語をはなせる...といってもはなしにならない程度ですが、それでもがんばって勉強してこのレベルなのに、タイ語なんてもっと難しそう! 「最初はね、挨拶しかできなくてw、後、お決まりのアローイとかサバーイとかw。でも、リゾートにいるわけでもないから英語を使うのも一切止めてん。ココ、タイやしなw。白人相手に旅してんとちゃうから」 心にズキンときました。
Re: アユタヤ 5 に期待 アユタヤ 2 渡し舟 アユタヤ 3 ハイシーズン アユタヤ 4 旅のカタチ ・・・・と、標題のつけかたもこなれてきて、展開が楽しみです。 YHは満室で泊まれなかったとのこと、 1月末に、10年ほど前に泊まった、 船着場から左へ5分ほど歩いたYHへいったところ、 経営が変わりYHではなくなっていました。 翌日たまたま、もう少しバンコク寄りの橋の近くに、 数年前に移転開設したYHを見つけ、見学させてもらいましたが、 受付の愛想も良く、各部屋TV・ホットシャワー付で、 次回はぜひ泊まろうと思っています。 渡し舟の関西人、私も同感です。 対話の様子も、まるで録音したように臨場感あふれ、 ほんわかとした雰囲気が伝わってきて、続きが楽しみです。
アユタヤ 5 旅のカタチ アユタヤのトゥクトゥクはしつこいといろいろなガイドブックにかいてありましたが、Aさんと一緒のせいかだれも声をかけてきません。 1台だけ声をかけてきましたが、Aさんが一言二言ことばをかわすとわらっていました。 「いまなんて言ってたんですか?」 「ん?あぁ、トゥクトゥク使うかって言われたから、ソイ1まで?って言うてんw」 「ソイヌン?」 「あ、そか。ソイは路地とか通りって意味で、ヌンは1。その通りの事。GHがいっぱいある通りがソイヌン」 そう言って指をさした先は、わずか10m右手でしたw それにしてもいいなぁ、この雰囲気☆ しごと帰りとか学校帰りの人たちでにぎわう通り、交差点には屋台が準備をはじめてたり、もうたべてる人もいたりw 「あっ!ピンクの卵がある~w、これってやっぱりピンクのひよこがうまれるんですかぁ?」 「はっはっはっ!それおもろいなw、ピンクのヤツはカイヨーマーって言って、ピータンみたいなもんやね」 「ピータン?」 「うん、中華料理にアヒルの卵を泥の中で熟成醗酵させたヤツがあるやろ?アレのニワトリ版。妊婦さんとか、体が弱ってる時に食べるといいらしいよ」 といわれても、そのピータンもしりませんでした恥 「あれ?さっきのソイヌンってゆう通りがGHがいっぱいある通りって言ってましたよね?○○GHもあそこにあるんですか?」 「うん」 「じゃあ船着場からあるいても5分くらいなんですね」 「うん。なんで?」 「だってあの日本人の男の子たち、あそこで声を客引きしてたトゥクトゥクに○○GHって言ってみんなで乗ってましたよ!?」 「知ってるよw」 そのいたずらっぽい笑顔に、私もおもわず笑ってしまいました☆